GCOE教育ユニット

トップ > シナリオ策定研究グループ > シナリオ策定 2009年度成果

シナリオ策定 2009年度成果

I.研究活動

シナリオ策定グループにおいては次の各項目において研究を行った。

(1)エネルギーモデルツールの作成

現在までに検討されているMARKELモデル、AIMモデルなどのモデルツールの情報収集を行い、それらを参考にして独自のモデルツールの開発を行った。モデルツールには、需要予測、技術予測と確率に基づく技術導入量の決定、二酸化炭素排出量最小化による最適化を含んでいる。現時点においては、日本における電力システムについてのプロトタイプを完成させた。

(2)再生エネルギー資源の調査と必要な技術シーズの探査

最先端重点研究クラスタとの合同研究会を企画するとともに、それぞれの研究者にインタービューを行い、基本的な事柄、技術開発と将来の展望などコスト予測も含めて調査を行った。これらで得たデータについてシナリオに反映させるツールを考察した。また、独自に再生可能エネルギーのポテンシャル評価、温暖化ガスの排出・吸収データの推定、世界のエネルギー需給の現状と予測などについて調査を行った。

(3)ゼロエミッションエネルギーシナリオの構築

1)のツールを用いて、日本におけるゼロエミッション電力システムシナリオを構築した。一つは原子力を最大限導入するシナリオであり、もうひとつは再生可能エネルギーを最大限導入し残りを原子炉で補うシナリオである。いずれのシナリオについても電力貯蔵が大きな技術要素であり、電気自動車と水素エネルギーを効果的に使うことにより、日負荷変動、季節負荷変動を吸収できることを示した。

(4)グローバルなモデルの検討

東南アジア諸国において2050年までの新エネルギー導入シナリオ(コスト最小モデル)について検討を行った。また、海外で発表されているシナリオについてデータを収集し、2100年にCO2ゼロエミッションを達成するには、新エネルギーの電力、水素への高効率転換技術の確立とバイオマスエネルギーCCSの確立が重要な要素であることを確認した。

II.グループ研究活動報告

学生を8グループに分けてそれぞれについて特定助教または特定研究員がアドバイザーとなり、ゼロエミッションエネルギーに関するテーマで研究を行った。研究の内容については、前期は8月における国際シンポジウムで、後期は2月における年次報告会で発表した。また、3月末には報告書としてまとめる。

III.エネルギーシナリオ・戦略研究会

二回のエネルギー・シナリオ戦略研究会を開催し、シナリオ研究委員会の活動を紹介し意見交換を行った。
第一回は平成21年5月29日に開催し、シナリオ策定委員会が提出した地球温暖化対策の中期目標に関してのパブリックコメントを紹介し、それに関して意見交換をおこなった。
第二回は平成21年12月2日に開催し、2100年までのCO2ゼロエミッション電力システムシナリオについて紹介し、それに関して必要な技術やシナリオの妥当性などについて意見交換をおこなった。

IV.シナリオ研究・最先端研究グループ合同研究会

平成21年3月11日、11月2日の2回、合同研究会を開催した。一回目は最先端研究グループの研究活動を紹介し、研究内容が将来シナリオの中にどのように反映されるかについてシナリオ研究グループが紹介し、今後必要なデータなどを共有することを確認した。第二回においてはシナリオ研究グループから2100年までのCO2ゼロエミッション電力システムシナリオについて紹介し、その実現のために必要な要素技術に関して議論を行った。

pagetop