エネルギー科学の学理の確立をはかる

エネルギーエコシステム学

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森林は1年間で大気中CO2の約10%を固定し、世界1次エネルギー需要の4~5倍もの太陽エネルギーを取り込んでいます。エネルギーエコシステム学分野では、この森林を活用することで化石資源の枯渇や地球温暖化の問題にアプローチします。当分野は農学部森林科学科を兼担しており、森林科学の基盤に有機化学、化学工学、電気工学、社会科学などの視点を取り入れ、基礎から応用に至る研究、教育を進めています。特に着目している研究分野は、分子機構の解明による木質バイオマスの熱分解・ガス化の改変、超臨界流体、プラズマ科学です。

バイオエネルギー

バイオエタノール・バイオディーゼルなどの液体燃料やバイオ水素などの効率的な生産・利用技術の研究を進めています。現状では、これらのバイオエネルギーは主に可食性のデンプンや糖から生産されていますが、将来的には非可食性で莫大な資源量を誇る木や草などの木質バイオマスを利用することが求められます。当分野では、分子機構に立脚して木質バイオマスの熱分解を改変したり、超臨界流体やプラズマ処理を用いることで、これまでにない全く新しいバイオエネルギー生産プロセスの提案を目指しています。

バイオケミカルス

化石資源の枯渇や地球温暖化に対処するためには、エネルギーだけではなく、主に化石資源から生産されているケミカルスやプラスチックなどのマテリアルをバイオマスベース化することが必要です。当分野では、熱分解制御や超臨界流体を用いた木質バイオマスの糖化技術、リグニン由来の芳香族ケミカルス(フェノール類やBTXなど)の効率的な生産プロセスなどの研究を進めています。

森林資源を利用した炭素隔離

パリ協定の採択を受け、我が国も2050年カーボンニュートラル(人為的な温室効果ガスの排出を2050年までにゼロにする目標)を宣言しました。このような中、CO2排出を減らすだけではなく、むしろ大気から積極的にCO2を除去(ネガティブエミッション)する必要性が急速に議論され始めています。当分野では、1年間に大気中CO2の約10%を固定する森林に着目した炭素隔離の研究を開始しました。例えば、廃木材などを炭化して土壌に隔離するためのバイオ炭の研究を行っています。

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