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エネルギー材料設計

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ナノ・マイクロ金属の疲労に関する研究

産業機器やインフラに関する重大事故の大半は、金属疲労に起因しています。疲労き裂の発生は、材料内部や材料表面に形成される数マイクロサイズの微視構造によってもたらされます。一方、近年広く用いられている高性能プロセッサ、メモリ、各種センサ、パワーデバイスなどの半導体電子デバイスの内部には、ナノ~マイクロサイズの金属材料が無数に使用されています。しかし、このような微小な材料中には、寸法の観点から上記の微視構造は形成できないため、未知の疲労現象が存在していると考えられます。独自開発したナノ・マイクロ材料用疲労試験機を用いて実験を行い、さらにシミュレーションを援用してその現象解明を行っています。

SEM内その場観察負荷試験

ナノ材料のマルチフィジックスに関する研究

近代社会では、ナノテクノロジーが急速に発展し、その一つとしてナノサイズの材料が持つ特異な機能に注目が集まっています。このような微小な材料に影響を及ぼす力学因子として、「表面」や「界面」が挙げられます。ナノサイズの材料では、表面や界面の影響領域が材料全体を占有することから、マクロな材料とは異なった特性を示すことが解析等によって予測されています。一方、実験による報告例は少なく、現象の検証は不十分です。強誘電性、磁気およびモット転移などの特性に着目し、ナノサイズの材料に力学的負荷が加わった際の応答について明らかにしています。

強誘電体ナノドメインのTEM内その場観察負荷試験

メカニカルメタマテリアルの設計と評価に関する研究

人工的に制御した構造を材料中に持たせることで、自然界の物質では実現し得ない物性を示す「メタマテリアル(物質を超える物質)」を創り出すことができます。中でも、力学特性に着目したものは「メカニカルメタマテリアル」と呼ばれ、負のポアソン比を示す材料や飛び移り座屈を示す材料などが報告されています。力学的な現象は多岐に渡るため、更なる特異な力学特性を有する材料の開発が期待されています。所望の力学機能の発現を実現するメカニカルメタマテリアルを設計し、動的斜め蒸着法や3Dプリンタを用いて実際に作製を行い、力学試験や解析によってその挙動の検証と検討を行っています。

メカニカルメタマテリアルの作製と力学試験

ナノ・原子サイズの特異応力場に起因した破壊に関する研究

き裂の先端では、応力が無限大に発散する特異応力場が存在し、き裂を起点とした破壊の挙動については、破壊力学を用いた議論がなされています。しかし、材料の寸法がナノサイズまで小さくなると、特異応力場の大きさもナノ~原子レベルまで小さくなります。この場合、特異応力場に含まれる原子の数は数~数十個程度となるため、連続体仮定下で定義される従来の破壊力学の適用が可能かどうかはわかりません。実験や解析を用いてその破壊の支配力学の解明を試みています。

ナノスケール場の応力解析およびき裂伝ぱ試験

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